【成年後見が開始された場合、「障害者控除」の適用があります】
交通事故によって、高次脳機能障害が残存してしまった被害者様について、家庭裁判所から、成年後見開始の審判がなされることが多々あります。
脳機能に障害が残ってしまったわけですから、後遺障害等級の程度にもよりますが、ある意味、当然と言えます。
成年後見が開始された場合は、所得税法上、
「特別障害者」として「障害者控除が適用」されます。
控除される金額は、下記の国税庁ホームページをご参照下さい。
「3 障害者控除の金額」として控除される金額が示されています。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1160.htm
【もう少し詳しく説明します】
適用される法律の条文で説明するよりも、分かり易く説明したいと思います。
先程、ご紹介した国税庁のホームページは、実務家(弁護士のみならず税理士も)がしばしば参照しているところです。
ここで、障害者控除の説明がある国税庁のホームページ
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1160.htm
ですが、
「2 障害者控除の対象となる人の範囲」で
「障害者控除の対象となるのは、次のいずれかに当てはまる人です。
(1) 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人
この人は、特別障害者になります。」
と説明されています。
成年後見が開始した方は、この「特別障害者」に該当します。
同じページの「3 障害者控除の金額」で説明されているように、例えば40万円の控除を受けられる(居住者が特別障害者である場合)ことになります。
もっとも、成年後見が開始した方が、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人」に該当することはどこに書いてあるのでしょうか?
なんとなく該当しそうに思えますが、根拠はあるのでしょうか?
この点は、法律に明記されているのではなく、法律の解釈によります。
しかし、学者や弁護士がそう考えています、というものではなく、静岡県社会福祉士会の照会に対する名古屋国税局の回答が出ています。
国税庁ホームページの下記ページに記載されています。
https://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/bunshokaito/shotoku/120831/01.htm
ここで、
「鑑定人による医学上の専門的知識を用いた鑑定結果に基づき、『精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者』として後見開始の審判をした場合には、所得税法上も、成年被後見人は「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」に該当し、障害者控除の対象となる特別障害者に該当すると考えられます。」
との名古屋国税局の見解が示されています。
※ 詳しい法解釈については、上記ページにありますので、ここでは割愛します。
【所得税以外への影響について】
所得にもよりますが、障害者控除が適用されることにより、住民税(市県民税)の非課税世帯になることもあり、単に所得税の問題だけでないメリットが出て来ることがあります。
【参考文献】
国税庁ホームページ
ほか